人工知能(Artificial Intelligence、AI)は、人間の知能を模倣するコンピューターシステムや機械の開発を指します。AIの歴史は、長い道のりを経て現在の技術水準に至っています。以下では、AIの歴史について概観しましょう。
計算機科学の誕生
20世紀初頭、数学者や計算機科学者たちが、人間の知能を模倣する方法を探求し始めました。1943年には、ウォーレン・マカロックとウォルター・ピッツがニューラルネットワークの概念を提唱し、計算機科学の基礎が築かれました。
第一次AIブーム(1950～1960年代)
1950年代から1960年代にかけて、人工知能への関心が高まりました。AI研究者たちは、機械が人間の知的なタスクを実行できるかどうかを探求しました。 この時期には、エキスパートシステムやチェスプログラムなど、初期のAIシステムが開発されました。
冬の時代(1970年代)
1970年代には、AIの研究は低迷期に入りました。成果が期待されたほど進展せず、AIの研究資金が減少するなど、停滞期が訪れました。 この時期には、フレーム問題と呼ばれる、AIが柔軟に情報を処理できない問題が浮上しました。フレームは、知識を組織化し、推論を可能にするための基本的なデータ構造であり、AIシステムの柔軟性を向上させるために重要な概念となりました。
第二次AIブーム(1980年代)
1980年代に入ると、エキスパートシステムや機械学習の発展により、AIへの関心が再び高まりました。 専門家システムの普及や新しいアルゴリズムの開発が進み、AIの研究が再び注目を集めました。
冬の時代(1990～2000年代)
1990年代から2000年代にかけて、AIの研究は再び低迷しました。予想以上の成果が得られず、AIの研究に対する投資が減少しました。 この時期には、シンボルグラウンディング問題と呼ばれる、AIがシンボルを実世界の物体や概念に関連付けることができない問題が浮上しました。シンボルグラウンディングは、AIが言語や知識を理解し、現実世界との関連性を持たせるために重要な概念となりました。
現在のAIブーム(2010年代～)
2010年代以降、ディープラーニングや深層学習の発展により、AIの研究が再び加速しました。 大規模なデータセットと高性能なコンピューターの普及により、AIの応用範囲が拡大し、新たな可能性が広がっています。
まとめ
AIの歴史は、計算機科学の発展とともに波乱に満ちた道のりをたどってきました。 第一次AIブームから冬の時代、そして第二次AIブームへと続く歴史は、AI技術の進化と社会への影響を示しています。 今後もAIの発展が続く中で、新たな挑戦と可能性が待ち受けています。
参考： 絵と図でわかる AIと社会 未来をひらく技術とのかかわり方(著者 江間 有沙・出版社 技術評論社)
